昨日、ある料亭の社長と雑談した。

先日、某会合があっておじゃましたのだが、味と組み立てがかわっていた。

以前から料理長が変わるという話は聞いていたが、新しい味は新しい料理長の味なのだろうと、その時思った。

S社長に尋ねると、前の料理長は引退。彼が「古い味付」をする人だったのに対し、新しい料理長は、「新しい味付」をするのだという。

たしかに、いただいた料理は、見た目は女性に好まれるような繊細なもの、以前はなかった「ミルフィーユ」などの新しい技法あり、味付けは、僕流に言うと「やさしい」。

ただ、日本料理には「博多蒸し」という料理があって、これはまさに「ミルフィーユ」だから、「ミルフィーユ」が新しいと言えるかどうかはわからないが。

S社長は、そういう新しいものをあまり好まないということだったが、老舗料亭が消えていく今の趨勢に対し、挑戦なり冒険なりの必要を感じられているのではないかと思った。

ちなみに、値段も安くなっていた。

そこにNさんがやってきて話に加わった。料理の話を聞きながら、「いい素材にシンプルな味付けが一番だ。」と言う。

僕はその意見には大賛成だ。しかし、それに対してS社長は、「やりたいけど、それしたらものすごい値段になるからな~。」それも同感。

料理を提供する店でどこまでやるか、というポリシーの問題。とことんやる店もあれば、普通の素材でいく店もある。このポリシーがしっかり確立していないと、店がぶれる。なんでもかんでも「素材にこだわった店」は、一見よさそうで、僕に言わせれば「かっこわるい」。

僕が今追求しているのは「家庭の味」。「はる」という店で提供する料理、その素材選びには、実は奥の深い考察の結果確立したポリシーがある。ポリシーがあるから楽しいし、それがお客様に受け入れられるとうれしい。ちなみに、素材の良さをそのまま提供するのではなく、仕事をしてから提供するのがはる流だ。

しっかりしたポリシーの存在が、その飲食店の「品格」を生む。何でもかんでもでは「品格」は生まれない。世の中不景気で、「品格」なんて言ってられないという方もいらっしゃるかもしれないが、こういう時代だからこそ、一本筋の通ったものが求められていると思う。