玉子焼きとだし巻き卵は当然別物ですが、最近、何でもかんでも「だし巻き卵」だと思われているような傾向があります。メニューに「だし巻き卵」の方がポピュラーだからかもしれません。

だし巻き卵はその名の通り出汁を入れてつくります。水分が加わるので柔らかく、その出汁が多いほど巻くのが難しくなります。新人の料理人さんが練習しているのをよく見かけます。

玉子焼きには出汁が入りません。当然、だし巻きと比べると硬めになります。

僕は卵が好きですから、両方ともよく食べますが、どちらが好きかと言われれば迷わず「玉子焼き」と答えます。

僕のイメージする玉子焼きは、子どもの頃お弁当に入っていたような奴ですね。

玉子焼きの味付けは砂糖をきかせた甘系と塩味の濃い辛系がありますが、母の味付けは辛系でした。母の味は忘れられないと言いますが、僕の場合は自分の好みを追求する20代をすごしたものですから、その味を忘れてはいませんけど自分の好みの味付けは全く別物です。玉子焼きは甘系が好きです。

卵4個に砂糖、塩と醤油少々、少しだけ酒を入れて巻きます。巻くのは1回だけ。フライパンに全部流し入れて、弱火でじっくり焼いていきます。数度に分けて巻く方法が一般的ですが、僕は全部入れてしまいます。

半分くらい固まった段階で、箸を使って向こう側に寄せつつ、固まってない卵を手前に寄せていきます。ちょうどスクランブルエッグ状態の固まりが向こう側に集まります。この時、できるだけ隙間なく箸で形を整えます。

残った液をその固まりの下にもしっかり行きわたらせます。そして、タイミングを見計らって3つ折りにします。

寄せるときに隙間ができていたり、固まるタイミングと折り返すタイミングが悪いと、巻いたときに隙間ができます。(今日はまさにそれ。ちょっと失敗です!)

この作り方をすると年輪のような輪ができずしっかりと一体感のある玉子焼きになります。そのかわり弱火でじっくりですから時間はかかります。

ちょっと話はそれますが、お弁当って言うのは出かけた先で食べるものですから本来は冷えてから食べるものだったんです。だから、冷えたときの味を考えて作らないといけません。

玉子焼きは冷えると味が濃く感じられるようになります。そのときの味を想像しながら味付けします。

何でもかんでもホクホク熱々だったらいいっていうものではありません。僕は冷えた玉子焼きはとても素敵な料理だと思います。因みに、僕は冷えたピザも大好きです。わざと放置して冷えたのをいただくこともあります。温度が変わると味も食感も変わります。冷えたチーズも美味しいんですよ。

ただ、これは、冷えた方が美味しいということではなくて、どちらもありということですよ。比較の話ではありません。

お弁当の玉子焼き、常温の玉子焼き。日本人のほとんどにとって大好物なんだと思います。